2009年京都大学GCOE次世代ワークショップのProceedings(英語)が刊行されました

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昨年の11月に京都大学で開催された、京都大学のGCOEプロジェクト「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」で年に一回開催されている若手国際ワークショップに参加したのですが、そのときの報告原稿が冊子になっていますので、久保田の執筆箇所のみ公開します。


京都大学GCOEト「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」
http://www.gcoe-intimacy.jp/


【題目】
 Unweaving Family Welfare: Diverse Families as "Needs Mixes"

KUBOTA, Hiroyuki
Ph.D. candidate at Graduate School of Osaka University

【PDF】
Kubota, Hiroyuki., 2010, 'Unweaving Family Welfare: Diverse Families as "Needs Mixes"', Asato, W., and Kusaka, W., (eds), Proceedings of the 2nd Next-Generation Global Workshop 'Is "Family" Alive?: Changing Social Communication through Sex, Politics and Communication", Kyoto University Global COE Program: pp104-115.


この年のテーマは「『家族』は今も健在なのか?(Is "Family" Alive ?)」という興味深いものでしたので、喜び勇んで参加させていただき、「家族と福祉」の分科会で報告させて頂きました。いろいろな国からいろいろなテーマに関心を持つ若手研究者が集まって、報告を聞いたり議論をしたりするのは楽しいですね。逆に、焦点を絞って議論を深めることができないといえばその通りで、この点を持って国際学会なんて意味がないということをおっしゃる方も少なからずいますが、役割分担というか、違う筋肉の使い方として重要なのではないかとも思います。拠点リーダーの落合恵美子先生、ならびに教員、院生、スタッフのみなさま、ご挨拶が遅くなりましたが、大変お世話になりました。

ちなみに、報告タイトルの「Unweaving Family Welfare(家族福祉の解体)」は、僕の敬愛するイギリスの動物行動学者リチャード・ドーキンスが『Selfish Gene(利己的な遺伝子)』で一躍有名になったあと、1998年に出版した『Unweaving the Rainbow(虹の解体)』からとっています。ドーキンスのタイトルはさらに、イギリスのロマン主義詩人ジョン・キーツの一節に負っています。キーツはニュートンの科学によって、あの美しい「虹」は分光学的な現象に還元され、その詩的な力を破壊されてしまったと考えました。ドーキンスは逆に、科学的な眼差しこそが宇宙に対する「センス・オブ・ワンダー」(レイチェル・カーソン)を喚起するものだと反論しています。これは、家族や福祉という「善きもの」を分析的に議論する場合にも当てはまるのではないでしょうか。(今思えば、『生物と無生物のあいだ』講談社現代新書の福岡伸一さんが訳されていたんですね?)

なお、この報告を元にした論文(日本語)が、2011年の6月ごろに刊行予定ですので、興味のある方はそちらも併せて呼んで頂けたらと思います。

今思えば、この翻訳は京大助手だったころの福岡伸一が手がけていたんですねー。
「センス・オブ・ワンダー」を手軽に味わえる『空想科学読本』シリーズもあわせてどうぞ。


  

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