2011年2月アーカイブ

勁草書房より檜垣立哉編『生権力論の現在――フーコーから現代を読む』が発売になりました。阪大の檜垣先生を中心とした「生権力研究会」のメンバーである哲学の近藤さん、人類学の山崎さん、久保さんをはじめ、社会学で同期の永吉さんも執筆しています。とりわけ山崎さんは、フーコーに関する海外の研究動向の章も執筆していて、こちらはとてもオススメです。久保田も生権力と家族・住宅に関する章を書かせていただきました。

住宅の歴史についてはまだまだ勉強不足で、信州大学の祐成保志さんの議論を借りながら、少しだけシェアの話もしています。

実は、今回ほど全く筆が進まず、編者の檜垣先生や編集者さんをはじめ周りの方々にこれほどご迷惑を掛けた原稿は今までなかったので、個人的には非常に感慨深く思います。至らない点も多々あるかと思いますが、どうぞ手に取っていただき、ご批判頂ければ幸いです。



目次や執筆者は以下の通り。

<内容説明>

生命をめぐる技術と知がめざましく変貌している現代を解読する上で、貴重な示唆を与えてくれるフーコーの「生権力」概念。本書では人類学や社会学、科学哲学を専門とする気鋭の論者の論考を通してその原理的な潜勢力を明らかにし、生権力的な配置をうけて展開される法・国家・主体を現代の文脈において問いなおすことを試みる。

<目次>

はしがき

序章 生権力論の現在/生権力論の未来[檜垣立哉]
 1 生権力論の多義性
 2 七〇年代以降の転変
 3 フーコー以降の生権力論
 4 核心的な問い

第一章 臓器移植の生経済――治療から数の調整へ[山崎吾郎]
 1 はじめに
 2 バイオエコノミーとは何か
 3 臓器の経済
 4 「不足」が生み出す世界
 5 資源の概念化、あるいは潜在的ドナー
 6 生かす権力と殺す権力

第二章 〈機械―人間〉というイマージュ――生政治学と計算機科学における自己の編成[久保明教]
 1 はじめに
 2 生政治学的統治と再帰的自己
 3 計算機科学と形式化される自己
 4 生きている機械、生成する私

第三章 呼び戻される「国民」――移民制度の変遷にみる「統治性」[永吉希久子]
 1 はじめに
 2 「統治性」と市民権
 3 多文化主義の問いかけと組みかえ
 4 移民政策の変遷
 5 「国民」の変化と統治性

第四章 近代家族の空間配置――生権力論のなかの「家族」[久保田裕之]
 1 はじめに
 2 対象としての「家族」――自然と文化の汽水域へ
 3 家計内生産の理論と近代家族のエコノミー
 4 「家族」と住宅をめぐる生政治
 5 「家族」的人間主体の形成と生権力

第五章 生命と認識――エピステモロジーからみる「生権力」の可能性[近藤和敬]
 1 はじめに
 2 フーコーの「生権力」と「規範」概念
 3 カンギレムのエピステモロジー
 4 「権力」概念の再構築
 5 ヒューマンサイエンスからモンスターサイエンスへ

研究動向――生政治と統治性の現在[山崎吾郎]
 1 はじめに
 2 生政治の経験
 3 装置の歴史
 4 統治性の現在――自然、社会、経済
 5 おわりに

結語に代えて――身体の何が構築されるのか[檜垣立哉]

無料ブログパーツ作成サイトで、非常勤任期切れまでのカウントダウン・タイマーを作成しました。
タイマーがゼロになる前に新しい仕事を見つけましょう。

該当する方は、タイマーをクリックして飛ぶ設定の頁から、htmlタグをコピーして(多少カスタマイズできます)、ご自身のHPやブログに貼り付けてください。オリジナルなタイマーも作れるほか、同様のサービスは他にもいくつか存在するようです。

本来であれば、実物のタイマーを首から提げて授業をしたり、キャンパスをうろうろしたりしたいのですが、まだ技術力がないので、こっちはおいおい作ります。

2011年3月末用

2012年3月末用

2013年3月末用

2014年3月末用

カウントダウンプロジェクト
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久保田の所属していた大阪大学大学院では、計量社会学が非常に盛んなんですが、大学にサーバーを立ててSRDQ(社会調査データベース?)というサービスを提供しています。これは、東大のSSJデータアーカイブみたいな調査資料の蓄積にとどまらず、なんとブラウザ上で直接データを分析できるんですねー、すごいですねー。高価なSPSSもSTATAも要らないんですねー。業界的に問題ないんでしょうかねー。クロス集計はもちろん、ロジスティック回帰分析や、クラスター分析までできるようです。

そのSRDQの使い方を紹介しながら、社会調査について勉強できるという教科書が発売されています。川端亮編『データアーカイブSRDQで学ぶ社会調査の計量分析』(2010年、ミネルヴァ書房)です。阪大院の授業でも使われているようです。

さすがに、いきなりこれだけで社会調査を勉強するのは難しいんじゃないかと思うのですが、入門書を終えたあと、高価な統計ソフトをクラックするわけにもいかず、かといってフリーのRも敷居が高い、という方は手にとってみてはいかがでしょうか?卒論や修論で統計をやりたいが、近くに社会調査を専門にする先生がいない、という私大や地方の公立大学の学生さんの話も、たまに聞きますし。執筆には、阪大社会学の先生のみならず、久保田の院生仲間が沢山名前を連ねています。

院の授業を履修していたゼミの後輩の宿題を一緒に考えているうちに、なんだかんだ一冊最後まで読みましたが、いろいろためになりました。単なるマニュアル本で終わらないように、具体的な社会学的トピックを事例に、実際にデータを分析しながら解説しているのはとても面白いですが、それがわかりやすさに貢献しているかは章によるかもしれませんね。

その後、久保田も関係者の方から一冊頂きましたので、この場を借りて紹介させて頂きます。
久保田はまだ計量の論文を書いたことがないので、ちゃんと勉強します。ありがとうございました。


  

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