昨年度に訳書が刊行された『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』の著者であるエヴァ・キテイ教授が、出版を記念して来日された折の講演録や研究会などを元に編んだ本が、このたび白澤社さんより発売されました。タイトルは『ケアの倫理からはじめる正義論――支え合う平等』です。
本書は、やや難解な哲学書だった『愛の労働...』に対する普及版という位置づけで、インタビューや講演録などを交え、平易な話し言葉でキテイ教授の議論のエッセンスを分かりやすく解説しています。編者でもある岡野八代先生、牟田和恵先生らの解説論文のほか、江原由美子先生、林葉子先生、中谷猛先生らも寄稿されています。豪華ですね。
さて、久保田は『愛の労働...』の翻訳をお手伝いした関係で、キテイさん来日のときに少しだけお話しさせて頂きましたが、ロールズへの徹底的な批判者であると同時に、ロールズの議論を非常に高く評価している姿が印象的でした。今日本は空前の正義論ブームといった雰囲気ですが、彼女の議論を筆頭に、フェミニズム/ジェンダー視点の正義論が日本でも無視できない大きな流れとなっていくことを期待しつつ。
是非一度、お手にとって見てみてください。
あと、『愛の労働...』の方も是非よろしくお願いいたします。