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千葉大学の米村千代先生より、岩上真珠編『<若者と親>の社会学――未婚期の自立を考える』青弓社を送っていただきました。どうもありがとうございます。とても嬉しく思います。

岩上真珠先生を中心とした、ポスト青年期の若者の家族関係に関する一連の研究の最新の成果のようです。特に、米村先生が執筆されている第4章「親との同居と自立意識――親子関係の'良好さ'と葛藤」が、久保田も非常に関心のあるテーマで、さっそく読ませていただきました。

家族と同居するか/家族の元を離れて暮らすか、という選択が、若者の自立とどのような関係にあるのかは、「ひきこもり」や「ニート」が問題となる現在、非常に重要なテーマだと思います。是非ともシェアハウジングに関する議論と接続してみたいと思います。関連文献と一緒に紹介しておきます。

     

表題の通り、田村さんからまた本を頂いてしまいました。編者である田村さん自身が執筆しておられる、第2章「親密圏における熟議/対話の可能性」が、久保田の描く「シェアの政治」と関連しているからだと思われます。田村さん、いつもお世話になります。はるばるオーストラリアからもお気遣いいただき、どうもありがとうございました。

シリーズの説明
http://www.fuko.co.jp/catalog/ShinYokoku_hakken.html


せっかくですので、田村さんの他の本も併せて宣伝しておきます。にしても、一番右の本すげー高いですね・・・

余談ですが、今年提出した久保田の博論の題目は「非家族と家族の社会学」という耳慣れないものでした。その主眼は、家族やその拡張、ないしPC(政治的に正しい表現)としての「親密圏」としてではなく、あくまで「非」家族、すなわち家族「ではない」もの、親密圏「ではない」ものとしてシェアをはじめとするさまざまな共同生活実践を位置づけることでした。

現在、出版に向けて右往左往していますが、おそらく、これまで家族の名の下に束ねられてきた、親密であること、対等なものとして生活を共にすること、子どもや病人などの世話をすることといった多様なトピックを、切り分けながら再接合して議論する足がかりになるのではないかと思っています。ダイジェスト版は、春に出る大阪大学人間科学研究科紀要に掲載される予定です。

そういえば、昨日校正が来てたような・・・

科研費で購入を企てていたKindle3だが、あえなく却下。確かに、Kindleで買った電子書籍を、研究室に置いていくことが出来ない以上、当然と言えば当然だが。仕方なく、個人的に注文。円高って素晴らしい。

一週間くらい使ってみた感想。



<良いところ>

・恐ろしく読みやすい。紙に印刷されているかのよう。特に、通勤電車などで明るい日差しが照りつけていても問題なく読める。
・ワイヤレスで直接本が買える。特に、洋書のサンプルがダウンロードし放題なのは有り難い。気になる本は、まずサンプルをダウンロードして、序章を読み、面白そうなら買う、といった使い方ができそう。その意味でも、3G対応のものをオススメする。無線LANだけだと、機動的にダウンロードできないから。
・文庫本に比べるとやや大きくて重いが、手が疲れるほどではない。長時間の読書も問題ない。これは、iPadには無い利点か。
・青空文庫との連携が見事。専用のフォーマットに変換された和書は、美しすぎる。変換の仕方も、青空Kindleのページから、ブックマークレットを登録しておくと、青空文庫のそれぞれの本のページでクリックするだけで、Kindle用のフォーマットに変換してダウンロードしてくれる。これはありがたい。できれば、ファイル名を日本語の書名に変換してくれるとなお有り難いのだが。
・A4のワードファイルの大きさまでなら、pdfにすれば何とか読める。ただし、見開きのpdfや、グラフや表がはいったものはちょっと読めない。Deluxなら読めるかなー。
・電源を切ると、いろんな絵が表示されるのは楽しい。もっとバリエーションが欲しい。電源を切ってる間なら、広告を入れてもいいんじゃないかな。その分、本を安くしてくれたら。

<気になるところ>
・重さはともかく、やはり大きい。電車で座って読む分には問題ないが、立って読む場合や、乗り換えのために一度ホームに出る場合など、大きさが少し気になる。文庫本や新書のように、開いて読み、閉じて持ち歩くというメディアがどれほど素晴らしかったかを痛感。
・表示速度は読書に関しては及第点だが、単語を辞書で調べようとするとやや待たされる。これは、英語を外国語として読む人たちの辞書検索頻度には耐えない。大人ネイティブが、難しい単語をごくたまに調べる想定ならOKかもしれないけど。
・サンプルをダウンロードして読み終わり、欲しくなって購入すると、読み終わったサンプルの他に新たに本がダウンロードされてしまい、サンプルの読書情報が引き継がれない。そもそもサンプル版ではハイライトしたりメモを取ったりできない。これは、自分の本を「汚しながら読む」という文化に慣れてしまうと、なんとなく違和感がある。もうすこしサンプルを自由に汚させてくれた方が、購入意欲も高まるのでは。
・さらに、細かくメモをとったり、気になる単語やフレーズを頻繁にハイライトしながら読もうとすると、反応速度の遅さが気になってくる。これでは正直、学術書や専門書を読むのに向いていないと感じた。
・ショートカットをもっと充実させて欲しい。たとえば、Alt+Bでブックマークが入れられたり、いくつかのショートカットが取り入れられているものの、せっかく滅多に使わないキーボードを搭載している割には不親切すぎる。たとえば、Alt+Hで、カーソルのすぐ右の一単語だけをハイライトとか、Alt+Shift+アルファベットで、そのアルファベットで始まる単語に順次ジャンプするとか(カーソルキーを動かすのがたるいので)。Windowsキーのようなスーパーキーを用意してもいいんじゃないか。
・和書に対応していない。いまさらだが、洋書専用では日本での市場が小さすぎるだろう。青空Kindleの美しい和文表示を見る限り、もし対応すればすぐにでもひろまるんじゃないかという印象を持った。

・付属のマインスイーパーのレベルが簡単すぎる。こういうのは、無駄に最高難易度を上げておくべき。ただし、付属の五目並べにはまだ勝ったことがないが・・・。


<総評>
研究用に学術書や専門書が読めるかな、と思っていたが、ちょっと無理そう。しばらくは、娯楽用の小説専用機に成りそうな予感。

まず、pdfを読み込ませて持ち歩く用途に、思ったよりも向いていない。画像が荒いし、文字もずいぶん小さくなってしまうから。また、読みながらハイライトしたりノートを取ったりする作業が面倒すぎる。さすがに、何のノートも取らずに読み終わっても、結局もう一度紙媒体で読み返すことになる気がする。もっとも、パソコン版と併用しながら、一回目は電車でKindleで読み、2回目はPCでこまめにノートを取りながら読む、ということも可能か?いや、少なくとも一回目に快適にハイライトできないと、この方法でも無理があるかも。

iPhone版Kindleのところでも書いたけど、もし娯楽用途なら画面の大きさはあまり気にならないから、もっと小さくてもいい気がするな。あるいは、見開き2画面版を開発して欲しい。

ひとまず、英語を読む習慣をつけようと思い、昔いろいろ読んだJohn Grishamをいくつかダウンロードして読んでいる。あと、何かと話題の、Stieg Larssonの三部作を読み始めた。こうやって、複数の本を浮気しながら読むのには、Kindleは本当に素晴らしい。それに、一日二回、通勤時間に英語を読む習慣をつけたら、一年、二年でずいぶん違うんじゃないかな。

気になる点は多いけど、満足して使っています。ただし、かなり用途を選ぶと思うな。

新曜社の小田さんから連絡があり、牟田和恵編『家族を超える社会学―新たな生の基盤を求めて』の重版が決定したとのこと。嬉しいですね。発売が去年の12月10日ごろでしたから、10ヶ月弱で初版が売り切れた形になります。

ひきこもり問題や、赤ちゃんポストについてのコラムも収録されていますので、歴史を遡るというよりは現代の家族問題から解きほぐすタイプの家族社会学の教科書、あるいは、堅めの教科書に続く二冊目の教科書や参考図書として授業などで活用していただければと思います。

沢山の人が読んでくれますように。


本の紹介記事
http://www.synoikismos.net/blog/2009/12/post-13.html

ケアと正義を考えるための最重要文献のひとつ、Eva Feder Kittay著「Love's Labor」(1999)の日本語訳が白澤社さまより発売になりました。岡野八代・牟田和恵監訳で、邦題は、『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』です。久保田も、第2部と第3章のロールズ批判の前半の訳を手伝わせていただきました。

キテイはアメリカの政治哲学者であり、本書も第II部を中心に哲学的な議論を含んでいますが、岡野・牟田両氏のご尽力により、たいへん読みやすい訳になっていると思います。特に、6章「私のやり方じゃなくて、あなたのやり方でやればいい。セーシャ。ゆっくりとね。」のように、エッセイ調で構成された章もあり、重度の知的障碍を持った娘さんとの関係の中で鍛えられたキテイの哲学の源泉を垣間見ることができます。研究者のみならず、日々ケアの現場で依存にかかわる労働を実践されている方々にも、手にとって頂ければ。

ちょっと高いですけど、翻訳書はどうしても値段が下げられないみたいで。



<本の紹介>
子育て、障碍者・病人・高齢者の介護など、主に女性たちが担ってきたケア労働。そのため女性は、社会的に不利な立場におかれがちだった。重い知的障碍を持つ娘との生活を送ってきたキテイが、ロールズ「正義論」を大胆に批判しつつ、女性たちの経験を包摂する真の男女平等はいかに実現されるかを問い、公正でケアの行きとどく社会への道しるべを提示する。

<著者紹介>
ニューヨーク州立大学ストーニー・ブルック校哲学科教授。女性学研究科教授、医学・共感ケア・生命倫理センター長を兼任。専門は、西洋哲学、フェミニスト倫理学、社会思想。

<目次>
第I部 愛の労働―依存は何を要請しているのか
 第1章 依存と平等の関係
 第2章 脆弱性と依存関係の道徳
第II部 政治的リベラリズムと人間の依存
 第3章 平等の前提
 第4章 社会的協働の恩恵と負担
第III部 みな誰か母親のこどもである
 第5章 政策とケアの公的倫理
 第6章 「私のやり方じゃなくて、あなたのやり方でやればいい。セーシャ。ゆっくりとね
      ―個人的な語り
 第7章 違いのある子どもへの母的思考
生まれて初めての電子書籍での読書が終了。
8/27日発売の新型Kindleの購入に先駆けて、iPhoneにインストールしたKindleでダン・ブラウンの新作を読んでみました。写真を貼ろうと思ったら、アメリカのアマゾンでしか売ってないんですね。
↓これは、一世代前のKindle用の液晶保護シート。

↓こっちは、アメリカのアマゾンの商品説明

以下は、iPhone版Kindleの感想です。

・論文や学術書はともかく、小説なら小さな画面でも十分読めることを知った。縦でも横でも、その都度、読みやすさよりも持ちやすさを重視した体勢で読書可能で、慣れればもっと小さい携帯画面でも読めるかもしれない。その意味では、わざわざ画面の大きなKindleを購入する意味は薄いかも。もっとも、段落位で意味をとっていく論文や学術書の場合は、果たしてKindleであっても十分かとうかは、実際に体験してみないと分からない。

・電車の中や、喫茶店など、気軽に取り出して続きが読めるのは何よりも嬉しい。
ただ、iPhone自体がそれほど持ちやすい形をしているわけではないので、一冊の本を持ち歩いて読む人にとっては、どれほど便利かわからない。むしろ、何冊かの本を浮気しながら読みたい人の方が、活用できるかも。小説やノンフィクション、古典や雑誌など、さまざまな本が一度に持ち歩けるかどうかも重要で、コンテンツの充実に期待。早く日本語にも対応して欲しい。他方で電車やバスの中では、たしかにiPhoneの液晶が見ずらいことも多く、これはe-inkを使った新型Kindleに期待ですね。

・指で単語をポイントすると、英英辞典が起動するのは素晴らしい。ただ、オックスフォードの学習用辞書が収録されているので、定義が回りくどくてやや不便。ひとつは、ダン・ブラウンのような象徴・記号学、オカルティズムを扱った小説を読むには、学習用辞書では語彙数が少なくて、辞書に載っていない単語がかなりあった。ふたつめは、小説を読むレベルでは、簡単な同義語で言い換えてくれれば十分で、厳密な意味が欲しいわけではないから。たとえば、「yank=pull strongly」とか。英英ではなくて、英和が欲しい人も多いはずで、英和でいえばリーダーズのようなアッサリした翻訳用の辞書が欲しいかも。要するに、辞書が選択できるといいんですけど。また、辞書機能がPC版のKindleでは使えないのも、iPhone版に慣れてしまうと非常に不便です。

・関連して、単語をポイントすると、上または下のウインドウに辞書の検索結果が6行ほどで表示されると同時に、ハイライトするか/ノートをつけるか選べる画面になります。ここで、iPhoneユーザーならおなじみの、始点と終点を操作して必要な範囲を選択することができることになっています。問題のひとつは、この段階で、iPhone版Kindleがひとつの単語として認識する範囲がうまくいかないこと。たとえば、「strange things―when she turns」という文字列があると、thingsとダッシュとwhenをひとつの単語として認識してしまい、この選択範囲が修正できません。結果、strange thingsだけを選択することもできないし、whenだけを選択することもできず、要するにこの位置にある単語が辞書でひけません。そもそも、連語を辞書として引けないのもやや残念です。

総じて、はじめての電子書的体験はとても素晴らしかったです。新型Kindleを購入して一冊読み終わりましたら、またレビューしますね。The Lost Symbolに関しては、邦訳の方を案内しておきます。

研究所の同僚の桜井靖久氏より、鈴木洋太郎・桜井靖久・佐藤彰彦著『多国籍企業の立地論』を頂きました。桜井さんの博論を含めて、3人の研究者の論文4編が収録されています。専門分野の異なる、年の近い研究者からは、いつも新しい刺激を受けます。いつもお世話になります。これからもどうぞ宜しく。USJ内アミティヴィレッジでの研究会、今年こそ実現しましょう。

『間取りの手帳』と住空間の文法

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マッド・マドリスト佐藤和歌子さんの本にはじめて出会ったのは、2004年頃だったと思う。
『間取りの手帳』に収録された、不思議な間取りや破綻した間取りを眺めながら、
図だけでこれほど笑えるとは想像もしなかったのと、1980年生まれという佐藤さんの若さに驚かされたのを覚えている。

コラムやコメントのセンスについては、今読むとちょっと気恥ずかしくて隔世の感がありますが、
住空間が実はさまざまな約束事に従って構成されていることを実感させてくれるという点では、
今でもパラパラ眺めて楽しむ価値はあるでしょう。

最近、類似品も出ましたが、「どこが面白いポイントか」を矢印で示して説明しているのが興ざめで、
これもまた隔世の感がありますが、併せて紹介しておきます。


 
最近はご無沙汰ですが、東京にいた頃から研究会等でお世話になっていた森田さんから、トロツキーシリーズの二冊を頂きました。『ニーチェからスターリンへ―トロツキー人物論集』と、『永続革命論』を頂きました。コアな本を頂いて恐縮です。人物論集の方から読ませていただきます。

森田さんの最近の著作と併せてご紹介しておきます。久保田は最近、アナリティカル・マルキシズムに走っていたりして、恥ずかしながら近年の日本のマルクス主義の展開にはついていけていません。勉強させていただきます。

先日は、天満橋で偶然お会いできてとても嬉しかったです。また、ルイセンコ談義に花を咲かせましょう。

 

研究所の同僚である山崎さんより、震災のためにデザインは何が可能か』を頂きました。山崎さんも執筆されていますが、仮想の震災後の避難所生活において、予想される困難や問題にデザインがどのように貢献しうるかを提案するというユニークでお洒落な本です。もう一冊いただいた『子どものシアワセをカタチにする66の視点』(生活造形ラボ:博報堂生活総合研究所)は、何で頂いたのか忘れてしまいましたが、たぶん山崎さんのStudio-Lがらみではないかと思います。どうもありがとうございました。勉強させていただきます。

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